ベンチャー企業の立ち上げについて思うこと
15年くらい前、私は大学の情報工学科の学生でした。
当時は大学でベンチャー起業の講座なんかがあり、
ビジネスアイデアを考えようとか、
自分のアイデアで会社を立ち上げるのが格好いいとか素晴らしいみたいな風潮がありました。
背景としては2006年の、株式会社設立時の資本金の規制撤廃というのもあったんだと思います。
(株式会社設立時、資本金1000万円が必要だったのが不要となり、資本金1円でもOKとなった)
あれから15年。
今のところ自分としては、
「安易にベンチャー起業をもてはやすのは、多くの人にとって有害ではないか」っていうのが持論です。
ベンチャーを起業して経営していくことと、一般的な中小企業経営は大きく異なり、
以下のような違いがあると思います。
(特に大企業の経営については触れません。)
ベンチャー経営 | 一般的な中小企業経営 | |
---|---|---|
目的 | 社会を変える。今までにないものを世の中に作る | どちらかというと生活の手段としての仕事。親から会社を引き継いだなど |
業種・ビジネスモデル | 今までになかった業種・ビジネスモデルを生み出す | 既存の業種・ビジネスモデルでよい |
収益に対しての考え | 赤字になってもいいから顧客還元。(Amazonだって赤字だ!) | 粛々と黒字を目指す |
資金調達 | ベンチャーキャピタルからの資金調達を目指す | 銀行から借りる。そのために黒字にしておく |
成長性の考え方 | 創業後数年で大企業化したい。急成長を目指している。 | 特に急成長を目指してはいない |
顧客戦略 | 大企業化を目指しているわけだから、より多くの人に対して目立ってナンボ。世界的または全国的に目立ちたい | 自分の商圏の中で有名になれればそれで十分 |
以上をまとめると、
ベンチャー企業の立ち上げと経営って、一般的な経営に比べるとかなり高等技術だと思うわけですよ。
大学の講義としてやるなら、せめて
ベンチャー経営はこう、中小企業経営はこう、大企業経営はこう、
みたいな違いを提示して、あなたが経営するならどれがやりたいか?とか、うまくやっていくにはそれぞれ何が必要だと思うか?とかならまだわかる。
ベンチャーの立ち上げというのは、
「なぜ立ち上げたいのか」
「なぜ自分が立ち上げる必要があるのか」
「どんな価値を新しく作りたいのか」
というのが問われると思っています。
だって、生活費を稼ぐためならサラリーマンでもアルバイトでもやればいいし、
親の仕事を継ぐっていうのでも良いわけですよね。
新規性の高いアイデアが必ずしも必要なわけではないし、新しいビジネスモデルを生み出すことも要りませんよね。
自分がベンチャーを立ち上げる意義を語れないなら、ベンチャー立ち上げなんてやる必要がないと思います。
むしろそれを熱く語れる人でないと、赤の他人から出資を受けたりすることは容易ではないでしょう。
ベンチャーの立ち上げは誰でもできるわけではないし、誰もがやるべきことではないと思います。
会社を2~3社経営してみた経験があって、その経験を生かしてベンチャーの立ち上げをしてみたいとかならわかるんですが、
就職したこともない学生にベンチャー経営などを教えてもピンとこないのではと思いました。今更ながら。
皆さんはいかがお考えでしょうか。
ではまた。